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更新日:2024.06.24リハビリ脳卒中発症後の復職までのプロセス(概要)

脳卒中を発症した方が復職するためには、以下のプロセスが一般的に必要です。

これらのステップを通じて、患者は身体的、精神的、社会的に復職の準備を進めることができます。

それぞれは複雑ですが、本記事では全体像を簡単に理解していただくことを目的としております。

1. 初期治療と安定化

本記事の全体像を図にしたものがこちらです。

 

 

※ 期間はあくまで目安で個人差があります。

 

 

発症直後は初期治療が行われます。

脳卒中を発症した直後は、病院での緊急治療が必要です。血流を回復させるための治療や、脳の損傷を最小限に抑えるための措置が取られます。

 

 

2. リハビリテーションの開始

 

病院での初期治療が終わり、患者の状態が安定したら、リハビリテーションが始まります。

リハビリテーションの目的は、身体機能の回復や日常生活の自立、自宅復帰を目指すことです。

以下のようなリハビリテーションが含まれます。

 

  • 理学療法 (PT): 運動能力やバランスを改善するための訓練
  • 作業療法 (OT): 日常生活動作(ADL)の訓練
  • 言語療法 (ST): 言語能力や飲み込み機能の回復

 

 

近年では発症後48時間以内など早期から身体を起こして、

装具という足を支える器具を使用して歩く練習を行うなど、

適切なリスク管理の上で離床を進めることが推奨されています。

 

 

3. 精神的サポートとカウンセリング

 

脳卒中を発症すると、患者は精神的にも大きな負担を感じることがあります。

 

心理カウンセリングや精神的サポートが提供され、うつ症状や不安感に対処します。

 

 

4. 社会復帰の準備

 

リハビリテーションが進む中で、社会復帰の準備が始まります。

 

以下のようなステップが含まれます。

 

  • 職場環境の評価: 患者が再び職場に戻るために必要な環境の整備や、職務内容の調整が検討されます。
  • 職業訓練: 必要に応じて、新しいスキルや知識を習得するための職業訓練が行われます。
  • 職場とのコミュニケーション: 復職に向けて、職場の上司や同僚とのコミュニケーションが重要です。適切なサポート体制を整えるために、職場と連携します。

 

 

5. 試験的復職

 

復職の前には、試験的に職場に戻ることが推奨されます。

 

これは、短時間勤務や軽作業から始め、徐々に通常の業務に戻るプロセスです。

 

この期間中に、患者の体調や適応状況を確認しながら、必要なサポートを調整します。

 

職場の産業医や産業保健師、人事担当者と連絡をとり、

復職日を決めて逆算した上で段階的に業務の幅を拡大していきましょう。

 

 

6. 長期的なサポート

 

復職後も、定期的なフォローアップやサポートが重要です。

 

再発防止や健康維持のために、定期的な医療チェックやリハビリテーションを続けることが推奨されます。

 

 

これらのステップを通じて、脳卒中を発症した方が安全かつ効果的に復職できるようにサポートします。

 

また、個々の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

 

 

おわりに

 

今回は、復職に向けたプロセスの全体像を把握していただくために作成いたしました。

 

特に40代、50代などの働き盛りの皆様は焦る気持ちもあるかと思います。

 

ひとつずつ課題を明確にして取り組んでいくことで復職への道は見えて来るかと思います。

 

課題の整理や次に何をするべきかについてもし悩まれていたらいつでもご相談ください。

 

 

この記事を書いた人

東馬場要1991年奈良県生まれ。医科学修士。脳卒中と神経難病の認定理学療法士。現在はロッツ株式会社でリハビリを実践しながら、災害支援団体にも所属して能登半島地震の被災者への支援活動を行っている。学生時代の経験から志した「障害や災害にあっても長生きを喜べる社会」の実現を目指している。

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