更新日:2022.11.01リハビリ要介護度の認定基準は? 利用限度額や不服申立ての方法とあわせ弁護士が解説
介護サービスの利用に関する給付を受給するには、区市町村による要介護度の認定を受ける必要があります。
要介護度は「要支援1・2」および「要介護1~5」に分類されており、ランクに応じて介護サービスの利用限度額が異なります。症状に見合った要介護度の認定を受けなければ、十分な介護サービスを利用できない可能性があるので注意が必要です。
今回は、要介護度の認定基準や利用限度額、要介護認定に対する不服申立ての方法などをまとめました。
要介護度とは?
介護が必要な方に対する介護保険給付の内容を決定するため、各区市町村は要介護認定(要支援認定を含む)を行っています。その際、症状の内容などを踏まえた介護の必要性に応じて認定されるのが「要介護度」です。
要介護度は、「要支援1・2」および「要介護1~5」の7段階に分類されています。後述するように、認定される要介護度に応じて、利用できる介護サービスの内容や利用限度額に差があります。
要介護度の認定を受けるには?
要介護度の認定を受けるには、居住地の区市町村役場で申請を行う必要があります。その際、介護保険の被保険者証を添付した申請書を提出しなければなりません。申請書の作成方法については、区市町村役場の窓口で教えてもらえます。
申請を受けた区市町村は、コンピュータの推計による一次判定と、学識経験者で構成された介護認定審査会による二次判定を経て、要介護度を認定します。
要介護度の認定基準
要介護度の認定は、以下の5種類の介護等に要する1日当たりの時間を基準に行われます。
この1日当たりの時間を「要介護認定等基準時間」といいます。
(1)直接生活介助
要介護者の身体に直接触れる介助や、その準備・後始末を指します。
(例)
・食事
・入浴、洗髪、洗顔
・排泄
・歩行、体位変換、起居
・更衣
など
(2)間接生活介助
要介護者の身体に直接触れない解除や、その準備・後始末を指します。
(例)
・洗濯
・掃除
・コミュニケーション
など
(3)問題行動関連介助
要介護者の問題行動に関連して必要となる介助を指します。
(例)
・不潔行為への対応
・徘徊行為への対応、探索
・暴力行為への対応
など
(4)機能訓練関連行為
要介護者の機能訓練に関連して必要となる行為を指します。
(例)
・寝返り訓練
・起き上がり訓練
・座位訓練
・立ち上がり訓練
・移乗訓練
・日常生活訓練
など
(5)医療関連行為
医療関連職種(医師など)による業務独占行為を指します。
(例)
・中心静脈栄養の管理
・酸素療法の管理
・褥瘡の処置
・留置カテーテルの管理
・浣腸
・座薬の挿入
など
要介護度は、要介護認定等基準時間の長さに応じて、以下の基準により認定されます。
なお、「要支援2」と「要介護1」の要介護認定等基準時間は同じとなっています。
両者の区別は具体的な症状から判断されますが、要介護者の状態が不安定な場合や、理解力の低下が見られる場合には「要介護1」、そうでなければ「要支援2」となるのが大まかな傾向です。
以下の表はあくまでも目安ですが、症状別に認定されやすい要介護度を知るための参考としてください。
要介護度別|介護サービスの利用限度額一覧
要介護度が認定されると、段階に応じた利用限度額に達するまで、介護保険サービスを利用できます。ただし、介護保険サービス全般を利用できる「要介護」とは異なり、「要支援」の場合は一部利用できないサービスがある点に注意が必要です。
なお、介護保険サービスの利用には自己負担率が設定されているため、実際には利用料金のうち一定額を自己負担する必要があります。
40歳から64歳までの方、生活保護受給者、市民税非課税者の自己負担率は1割です。
65歳以上かつ生活保護受給者・市民税非課税者でない方は、所得に応じて1~3割の自己負担率となります。
要介護度の認定に対する不服申立て手続き
要介護度の認定に不服がある場合は、審査請求または取消訴訟によって認定を争うことができます。
(1)審査請求 都道府県の介護保険審査会(認定を行った介護認定審査会の上位機関)に対して行います。 認定の適法性・妥当性を改めて審査したうえで、問題があれば裁決によって認定が変更されます。 審査請求の期限は、認定処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です。 (2)取消訴訟 裁判所に訴状を提出して提起します。 裁判所が認定を違法と判断した場合、判決によって認定処分を取り消します。 取消訴訟は原則として、審査請求に対する裁決の後でなければ提起できません。出訴期間は、遅れることの正当な理由がある場合を除き、審査請求の裁決があった日から6か月間です。
まとめ
利用できる介護保険サービスの内容や利用限度額は、認定される要介護度によって決まります。したがって、十分な介護保険サービスを受けるためには、適正な要介護度の認定を受けることが大切です。
要介護度の認定基準の内容を踏まえつつ、主治医ともよくコミュニケーションを取りながら、申請に必要な書類を準備しましょう。