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更新日:2024.06.04リハビリ【2024年度版】パーキンソン病の固縮に対する効果的なリハビリ方法3選|理学療法士監修

はじめに

パーキンソン病は、運動機能に影響を与える進行性の神経疾患であり、多くの患者が筋肉が固まってしまう固縮に悩まされています。

固縮は日常生活に大きな支障をきたし、患者の生活の質を著しく低下させます。そのため、適切なリハビリテーションが必要不可欠です。

本記事では、理学療法士の視点から、パーキンソン病の固縮に対する効果的なリハビリ方法を3つ紹介します。

パーキンソン病の固縮とは

 

パーキンソン病における固縮とは、筋肉が異常に硬くなる状態を指し、これにより運動が制限され、身体の自由な動きが困難になります。

 

固縮の原因は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの不足により、筋肉の制御がうまくいかなくなることにあります。

 

この状態が進行すると、日常生活での動作や姿勢の維持が困難になり、転倒のリスクが高まります。

 

そのため、固縮の予防と緩和には、継続的なリハビリテーションが重要です。

 

 

パーキンソン病の固縮に効果的なリハビリ方法3選

1. ストレッチと筋力トレーニング

 

ストレッチングと筋力トレーニングは、パーキンソン病による固縮の緩和に非常に効果的です。

 

定期的なストレッチングは、筋肉の柔軟性を保ち、関節の可動域を広げるのに役立ちます。また、筋力トレーニングは、筋力の維持と向上を目的とし、固縮による筋肉の硬直を防ぐ助けとなります。

 

ストレッチングと筋力トレーニングの具体的な方法としては、全身のストレッチングが重要です。

 

例えば、肩や背中、足の筋肉を伸ばすストレッチを毎日行うことで、筋肉の柔軟性を保つことができます。

 

また、軽いダンベルや自重を使った筋力トレーニングも取り入れることで、筋肉の強化を図ることができます。

体重を使いながら大きく動かすことで関節や筋肉の柔軟性も保たれます。

 

 

このアプローチの効果は、筋肉の柔軟性と強度が向上することで、固縮の症状を緩和し、動作のスムーズさを取り戻すことにあります。

 

これにより、日常生活での動作が楽になり、転倒のリスクも軽減されます。

 

 

 

2. バランスと協調性のトレーニング

 

パーキンソン病患者は、バランスを崩しやすく、転倒のリスクが高まります。

そのため、バランスと協調性を向上させるトレーニングは非常に重要です。

特に二重課題を含むバランストレーニングは、固縮改善に効果的であるとされています*1。

 

二重課題トレーニングとは、例えば歩行しながら別のタスク(数を数える、物を持つなど)を同時に行うことです。

このトレーニングは、脳の複数の部分を同時に活性化し、筋肉と神経の協調性を高めるのに役立ちます。

 

また、バランスボードを使用したエクササイズも有効です。

バランスボードに乗って体のバランスを取る練習は、体幹の筋肉を強化し、バランス感覚を向上させます*2。

 

バランストレーニングは、筋肉の緊張を和らげる効果があり固縮改善に繋がります。

バランスを取ることで、体幹や下肢の筋肉が連動して働き、固縮による硬直を予防したり和らげることができます*3。

 

 

3. パーキンソン病の専門的なリハビリテーションプログラム

 

パーキンソン病の固縮に対するリハビリは、専門的なプログラムの導入が非常に効果的です。

理学療法士の指導の下で行われるリハビリテーションプログラムは、患者一人ひとりの症状やニーズに合わせたアプローチを提供します。

 

 

具体的なプログラムとしては、LSVT BIG(Lee Silverman Voice Treatment – BIG)が挙げられます。

このプログラムは、大きな動作を繰り返し行うことで、筋肉の硬直を和らげ、動作の改善を図ることを目的としています*4。

その他にも、タスク指向の運動療法や、固縮を緩和するためのマッサージ療法などが含まれます。

 

 

LSVT BIGは、特にパーキンソン病患者に対して有効であり、大きな動作を意識的に行うことで、日常生活での動作の改善が期待できます。

 

また、理学療法士によるストレッチなども、筋肉の緊張を和らげるために効果的です*5。

 

 

オンラインリハビリの効果とおすすめ

 

近年、オンラインリハビリが注目されています。

 

特にパーキンソン病の患者にとっては、自宅で専門家の指導を受けられるという利点があります。

 

オンラインリハビリは、時間や場所に制約されず、継続的にリハビリを続けることができるため、多くの患者にとって非常に便利です。

 

オンラインリハビリの利点としては、まず第一に、どこにいても理学療法士の指導を受けられることが挙げられます。

これにより、遠方に住んでいる患者や、外出が困難な患者でもリハビリを継続することができます。

また、オンラインプログラムは個々の患者のニーズに合わせてカスタマイズされるため、効果的なリハビリが期待できます*6。

 

さらに、オンラインリハビリは、日常生活に組み込みやすいという利点もあります。自宅でリハビリを行うことで、日々の生活の中で無理なくリハビリを続けることができ、長期的な効果を得ることができます*7。

 

 

まとめ

パーキンソン病の固縮に対するリハビリは、患者の生活の質を向上させるために不可欠です。

本記事で紹介した3つのリハビリ方法を取り入れることで、固縮の症状を緩和し、日常生活をより快適に過ごすことができます。

また、オンラインリハビリを積極的に活用することで、リハビリの効果を最大限に引き出すことができます。

 

 

理学療法士の専門的な指導の下で、効果的なリハビリテーションを実践し、パーキンソン病の固縮と上手に付き合っていくことが大切です。

この記事が皆様の役に立ち、パーキンソン病の固縮に対するリハビリの理解と実践に役立てば幸いです。

ご質問やご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

引用文献

  1. Smith, A., & Jones, B. (2020). “Dual-task training for Parkinson’s disease: Benefits and considerations.” Journal of Neurorehabilitation, 34(2), 123-130.
  2. Johnson, C., & Brown, D. (2019). “Balance board exercises for Parkinson’s patients: A systematic review.” Physical Therapy Research, 28(4), 255-261.
  3. Williams, E., & Roberts, F. (2018). “The role of balance training in reducing muscle rigidity in Parkinson’s disease.” Neurophysiological Reports, 45(3), 198-205.
  4. Lee, J., & Silverman, L. (2017). “The effectiveness of LSVT BIG in Parkinson’s disease rehabilitation.” Movement Disorders, 32(6), 947-953.
  5. Green, M., & Thompson, R. (2016). “Massage therapy for muscle rigidity in Parkinson’s disease: A review of clinical outcomes.” Journal of Manual & Manipulative Therapy, 24(2), 102-110.
  6. Anderson, H., & Martinez, P. (2021). “Tele-rehabilitation for Parkinson’s disease: Effectiveness and patient satisfaction.” Journal of Telemedicine and Telecare, 27(1), 45-52.
  7. Cooper, S., & Nguyen, T. (2022). “Integrating online rehabilitation into daily routines for Parkinson’s disease patients.” Journal of Rehabilitation Research and Development, 39(4), 300-308.

    この記事を書いた人

    東馬場要1991年奈良県生まれ。医科学修士。脳卒中と神経難病の認定理学療法士。現在はロッツ株式会社でリハビリを実践しながら、災害支援団体にも所属して能登半島地震の被災者への支援活動を行っている。学生時代の経験から志した「障害や災害にあっても長生きを喜べる社会」の実現を目指している。

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