更新日:2024.06.25リハビリ【復職を目指すときにやるべきこと3選】理学療法士が教える復職準備のポイント
はじめに
脳卒中などでリハビリ病院を退院し、いざ復職を目指すときに何から行って良いかわからない人は多いです。
筆者は理学療法士として、公務員や一般企業の方々の職場復帰を支援してきました。
その経験をもとに、復職準備において重要なポイントをお伝えします。
この記事を参考に、しっかりと準備をしてスムーズな復職を目指しましょう。
目次
仕事に必要な動作・能力・体力の整理
復職に向けて、まずは仕事に必要な動作や能力、体力を整理することが重要です。以下の項目をチェックして、現状を把握しましょう。
通勤
通勤は毎日のルーティンの中で重要な部分です。特に脳卒中後のリハビリ患者にとっては、着替えや歩行などの基本的な動作が大きなハードルになることがあります。通勤に必要な動作をリストアップし、どれが現状でできるか、どれが練習や補助具の利用でできるようになるかを確認しましょう。
着替え
着替えは、一見簡単そうに思えるかもしれませんが、実際には多くの動作を含んでいます。ネクタイを結ぶ、袖のボタンを留める、靴紐を結ぶなど、細かい手先の動作が求められます。これらの動作が困難な場合は、専用の補助具を利用することも検討しましょう。例えば、ネクタイを結ぶときに洗濯ばさみを使う、袖口のボタンを簡単に留める道具を使う、靴紐をゴム製にして結ばなくても良くするなどが役立ちます。
歩行と階段
通勤の際には歩行や階段の上り下りも重要な要素です。
これらの動作が困難な場合、リハビリを通じて徐々に体力をつけていくことが必要です。
無理をせずにエレベーターやエスカレーターを利用するなど、代替手段も活用しましょう。
電車の乗り降り
電車の乗り降りも通勤時の大きなハードルとなります。特に降りる時に間に合うかや混雑時の臨機応変な対応の難易度が高いです。
電車のステップやドアの開閉に対応できるよう、練習を重ねることが重要です。
また、混雑時を避けるために早めの時間帯に通勤する、あえて一駅もどるなど、工夫をされている方もいらっしゃいます。
実際の業務
元々行っていた業務を細分化して、仕事に必要な動作や体力をリスト化し、
現状でできること・できるようになること・できないことを明確にすることが重要です。
これにより、具体的な復職プランを立てることができます。
体力的に可能かを評価する方法
リハビリの専門家と相談しながら、自分の体力や動作能力を客観的に評価しましょう。
例えば、1日の活動量や歩行距離、階段の上り下りの回数、仕事に必要な作業の持続時間などを評価し、現状と目標を明確にします。
できること・できるようになること・できないことの整理
現在の業務の再整理
仕事に必要な動作や体力をリスト化し、現状でできることとできないことを分けます。
これにより、どの動作を重点的に練習すべきか、また職場に相談する必要があるのは何かが見えてきます。
例えば、現在は長時間の立ち仕事が難しいが、短時間ならできる場合、その短時間の立ち仕事から始め、徐々に時間を延ばしていく計画を立てます。
できるようになりそうかについては次の章を参考にしてみてください。
判断が難しい場合はリハビリの専門家などに相談しましょう。
できるようになりそうなこととは
できるようになりそうなこととは何か、次の3つの視点から整理してみてください。
練習すればできるようになる
特定の動作や作業は、練習を重ねることで改善される場合があります。例えば、片手でのタイピングや簡単な家事動作などは、繰り返し練習することで徐々に習得できます。リハビリ専門家の指導のもと、日常生活の中でできる範囲で練習を取り入れることが大切です。
体力がつけば解決する
体力の問題は、適切なトレーニングと栄養管理で改善されることが多いです。例えば、持久力をつけるためのウォーキングや、筋力をつけるための軽い筋力トレーニングを日常的に行うことで、体力が向上し、仕事に必要な動作が可能になることがあります。
代替手段や道具の活用
現代のテクノロジーや福祉用具を活用することで、多くの困難を解決することができます。例えば、片手用のキーボードや音声入力による文書作成などのテクノロジーを活用することで、作業効率を上げることができます。最近では、ボタンを留めるのが簡単になる道具やペットボトルのキャップを簡単に開けられる道具など、便利なアイテムが多く登場しています。
スケジュールを立てる
復職に向けたスケジュールを立てる際に、以下の手順で考えることで、職場との相談も円滑に進みやすくなると思います。
体力や動作の回復期間を見積もる
復職に向けたスケジュールを立てる際には、まずは体力や動作の回復期間を見積もることが重要です。リハビリの専門家と相談し、現状からどのくらいの期間で復職が可能かを見極めましょう。
最終的な目標から逆算して計画を立てる
最終的な復職目標を設定し、その目標から逆算して計画を立てることが効果的です。例えば、3ヶ月後にフルタイムでの復職を目指す場合、そのために必要な体力や動作能力を具体的にリストアップし、毎週の目標を設定します。
専門家に相談する
リハビリの専門家に相談することで、現実的なスケジュールを立てることができます。専門家のアドバイスを受けながら、自主練習を組み合わせて、効果的なリハビリ計画を作成しましょう。
自主練習の重要性
自主練習を行う前提でゴールを設定し、実際に取り組むことで、より早期の復職が可能となります。自主練習の内容は、リハビリ専門家の指導を受けながら、具体的な動作や体力トレーニングを取り入れましょう。
休職期間の確認
復職までのスケジュールを立てる際には、傷病手当などの休職可能な期間を確認することも重要です。職場の担当者や産業医と相談し、無理のないスケジュールを設定しましょう。
職場環境や業務内容の変更
復職に向けて、職場環境や業務内容の変更を相談することも重要です。例えば、デスクワーク中心の業務にシフトする、勤務時間を短縮するなど、無理のない範囲での調整を行いましょう。
オンラインでのサポート活用
リハビリの多くの内容はオンラインでもサポートが可能です。オンラインでの相談や指導を活用することで、効率的に復職準備を進めることができます。特に、遠方に住んでいる場合や、通院が難しい場合にはオンラインサポートが大変便利です。
オンラインサポートの利点
オンラインサポートは、自宅からでも専門的なアドバイスを受けられる点が大きなメリットです。移動の負担がないため、体力的な負担を軽減しながらリハビリに取り組むことができます。また、スケジュールの柔軟性が高く、職場復帰後のサポートにおいても仕事との両立がしやすい点も魅力です。
まとめ
復職を目指す際には、しっかりとした計画と準備が必要です。理学療法士のアドバイスを活用し、スムーズな復職を目指しましょう。
無理をせず、自分のペースで復職準備を進めることが大切です。今回お伝えしたポイントを参考に、着実にステップを踏んで復職への道を歩んでください。リハビリの専門家と連携しながら、自分に合った方法で復職を成功させましょう。