更新日:2024.10.16ことば3歳の言葉の発達が気になる|成長の目安と親にできること【専門家監修】
3歳になると、語彙の増加や会話力の発達が期待されますが、子どもによって発達のペースは異なります。うちの子は大丈夫なのかと不安になる親御さまも多いのではないでしょうか。
本記事では、3歳児の言葉の発達の目安と、読み聞かせや遊びを通じた効果的なサポート方法についてわかりやすく解説します。
子どもの成長を温かく見守り、自信を育てるためのヒントをお届けできたらと思います。
目次
3歳児のことばの発達
3歳児の語彙と文法の発達の目安
3歳児の語彙は500~1000語に達し、疑問文や過去形を用いた会話が可能です。 また、出来事を順序立てて説明できる能力も発達します (Visser-Bochane et al., 2020)。
コミュニケーション能力の成長
3歳児は「なんで?」「どうして?」といった質問を多用し、世界への理解を深めます。 また、会話の順番を守ることや、他者とのやりとりで社会的ルールを学びます (Tinsley, 2019)。
想像力を使った会話とごっこ遊び
3歳児は、ごっこ遊びの中でストーリーを構成することができ、他者と協力しながら遊ぶスキルを伸ばします。 これは、語彙力の向上だけでなく、社会的役割や他者理解を深める重要な活動です (Fricke et al., 2012)。
ことばの発達には個人差がある
語彙や会話の発達
語彙や会話力の発達には個人差があり、接続詞を使いながら物語を話せるお子様もいれば、単語レベルの会話が続くこともあります (Liu et al., 2019)。 多くの子どもは、個人差を持ちながらも時間とともに言語能力が向上し、将来的には同年代の子に追いつくことが多いとされています。環境や支援のあり方が重要な影響を持つため、保護者や周囲の温かなサポートも大切です。 ゆっくり発達する子も、家庭での遊びや会話を通じて成長の機会を積み重ねることで、将来的に必要な語彙力やコミュニケーション力を身につけます。 また、言葉の遅れが見られる場合でも、専門的な支援を受けながら進めていけば、多くの場合、数年以内に他の子と同じレベルまで発達することが期待できます。 焦らず、小さな進歩を喜びながら見守ることが、子どもの成長を支える最良の方法です。
不安な時は専門家に相談
言葉の遅れについて不安がある場合は、専門家の評価を受けることが推奨されます。 言葉の発達には幅があるため、評価を受けることで、必要なサポートを適切なタイミングで受けられます。 お一人で抱えないことが大切です。
3歳児のことばの家庭でのチェック方法
日常生活での言葉の観察
次の5つのポイントを参考に、日常生活の中で「スプーン取って」「洋服着ない」などの言葉が自然に出ているかを観察し、親子間の会話がどの程度スムーズに進んでいるかを確認しましょう。(d’Apice et al., 2019)。
- 要求を言葉で伝えられるか
- 「○○ちょうだい」「お水欲しい」など、欲しいものや必要なものを言葉で表現できるか確認します。
- 質問に答えたり、自分から質問できるか
- 「何それ?」「どこ?」と質問をしたり、親の質問に対して言葉で反応できるか観察します。
- 会話のやりとりが続けられるか
- 会話が2~3回以上続くか確認し、相手の言葉を受けて自然に答えられるかチェックします。
- 感情を言葉で表現できるか
- 「嬉しい」「悲しい」など、自分の気持ちを言葉で伝えられる場面があるかを確認します。
- 自発的な発話が見られるか
- 家族や友だちに自分から話しかけ、会話を始める積極性があるかを観察します。
これらのポイントを把握することで、子どもの言葉の発達を理解し、必要であれば早期に専門家へ相談することができます。 小さな進歩を一緒に喜び、温かく見守りましょう
友だちやきょうだいとの会話から得られるヒント
3歳児は、友だちやきょうだいとの遊びを通じて社会的なコミュニケーションスキルを発達させます。例えば「一緒にやろう」「順番を守って」といった発言を使い、協調性やルールの理解が育まれます。 また、トラブルが起きたときの言葉での解決方法や自己表現も学びます。3歳は子どもが他者の気持ちを理解し、共感する力が育つ時期でもあります。こうした会話経験は、社会性とともに言語の発達にも貢献します (Chao et al., 2006)。
読み聞かせと質問を通じたチェック
絵本の読み聞かせでは、以下の3つのポイントを確認しましょう。
- 質問への反応:「次はどうなる?」などの質問に対して、子どもが答えたり想像できるかを観察します。
- 物語の再現:「どんなお話だった?」と聞いて、話の順番や要点を伝えられるかを確認します。
- 感情の理解:登場人物の気持ちに共感し、「どうして怒ってるの?」といった質問に答えられるかをチェックします。
これらの観察を通じ、言葉の発達や想像力、共感力を育みましょう (Davies et al., 2004)。
3歳児の言葉の発達を促すためにできること
日常的な会話を楽しむ
日常の生活の中で、積極的に子どもと会話することが大切です。「今日は何をしたの?」といった質問を通じて、会話力と語彙が成長します (Fricke et al., 2012)。親子のやりとりを通じた自然な会話は、コミュニケーションの基盤を築く助けとなります。 会話においては子供の持つ世界をそのまま受け止めるように会話をすると自発的な会話に繋がりやすいかと思います。その他にも次の点を参考にすると会話をしやすいと思うので参考にしてください。 子どもの興味に寄り添った会話をする
- 子どもの好きなキャラクターや最近の出来事を話題にすると、自然と発話が促されます。「今日は何で遊んだの?」など、オープンな質問が効果的です。
ジェスチャーや表情も活用する
- 言葉だけでなく、手振りや表情を使ったコミュニケーションも取り入れましょう。親子で絵本を見ながら感情を表現することで、言葉を引き出すきっかけになります。
会話の成功を褒めて自信を育てる
- 子どもが言葉で伝えられたときは、小さな進歩も褒めましょう。間違いを気にせず、会話を楽しむことで、自然に発話への自信が育まれます。
読み聞かせの習慣
絵本の読み聞かせは、子どもの語彙力や理解力を向上させます。また、子どもが登場人物に感情移入し、物語を再現することで、言葉への興味を高めます (Mendelsohn et al., 2001)。
ごっこ遊びで想像力を伸ばす
ごっこ遊びは子どもの想像力を伸ばし、言葉の使い方を学ぶ絶好の機会です。 「お店屋さんごっこ」などのごっこ遊びを通じて、日常生活の場面を模倣することで、コミュニケーションスキルが向上します (Tinsley, 2019)。 筆者も「夫婦で営む経営難の町中華ごっこ」などを2歳の娘と楽しんでいます。
ほめる
子どもが話したとき、些細なことも褒めることが重要です。成功体験を重ねることで、子どもは自信を持ち、さらに言葉を使いたいという意欲が高まります (Davies et al., 2004)。 ただし、本音かどうかは子どもに見透かされるので、ただ「すごい」というよりは、「赤と青と緑の野菜を書いたんだね、きれいだね」など自分が気づいた点を伝えるだけでもいいかと思います。
専門家との連携
言葉の発達に不安がある場合は、早期に専門家に相談し、適切な支援を受けましょう。オンラインのプログラムや地域の保健センターなども活用すると効果的です。 家族との連携を取り入れた早期の介入は、言葉の発達に効果的という報告もあります (Chao et al., 2006)。 お一人で抱えずに、相談してみてください。
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