更新日:2024.12.12リハビリ【2024年版】パーキンソン病のすくみ足 自宅でできる対策とリハビリ
パーキンソン病の症状の一つである「すくみ足」は、転倒につながるなど日常生活に大きな影響を与える症状です。
この記事では、すくみ足への理解を深め、自宅でできる対策について解説していきます。
目次
すくみ足について理解を深めましょう
すくみ足の症状
すくみ足とは、歩行中に突然足が前に出なくなる現象です。
まるで足が床に張り付いたかのように動けなくなり、特にパーキンソン病の方によく見られる症状です。
この症状が起こる主な原因は、脳内のドーパミンという神経伝達物質の減少によるものです。ドーパミンは、スムーズな動作の実現に重要な役割を果たしています。
すくみ足の特徴的な症状には以下のようなものがあります
- 歩き始めの一歩が出にくい
- 方向転換時に足が動かなくなる
- 狭い場所や人混みで特に起こりやすい
- 焦ると症状が悪化する
まずはすくみ足について理解することで、以下の対応を落ち着いて行えるかと思います。
すくみ足が起こりやすい場面とその特徴
すくみ足は、以下の場面など、特定の状況で起こりやすい傾向があります。
- 狭い廊下や出入り口を通る時
- エレベーターの乗り降り
- 人混みの中を歩く時
- 急いでいる時や緊張している時
これらの場面では、視覚的な情報や心理的なプレッシャーが影響して、症状が悪化することがあります。
すくみ足が生じた時は「慌てて無理に出そうとしないこと」が最も重要です。
自宅でできるリハビリ方法
自宅で安全に実践できるリハビリ方法をご紹介します。以下の運動を定期的に行うことで、症状の改善が期待できます。
基礎的な体力・足の筋力・バランス能力を高める運動
パーキンソン病の方が苦手な運動は自発的な運動です。
反対に、階段の段差など、目印となるようなものがある場合は比較的円滑に動くことができます。
基礎的な足の筋力や体力をつけるためには以下の運動がおすすめです。
- その場での足踏み運動(1日3回、各2分程度)
- 目安:1日3回、各5分程度
- 「いち、に」など音と合わせて
- 慣れてきたら横歩きや階段の昇り降りへ
- 階段の昇り降り
- 自宅に階段がある方はぜひ
- 手すりを持って
- 少しきつい程度まで
- 慣れて来たら徐々に回数を増やしていく
- 壁や手すりの前で横歩き・後ろ歩き
- 転倒に注意してなるべく掴まれる環境で
- 後ろ歩きは支えてくれる人がいるときに行いましょう
- 少しずつ歩幅を大きくしましょう
自宅でもしっかりと負荷をかけた運動が可能です。
少しきついくらいを目安に安全性に配慮して取り組んでみてください。
リズム運動を取り入れる
「音」も歩く際のガイドとなるため メトロノームを使用したリズム運動も効果的です。
- まずは今の歩きのリズムにメトロノームを合わせる。
- 慣れて来たらメトロノームを少し早くして、メトロノームに合わせる
- 次はメトロノームを少し遅くして、同様にメトロノームに合わせる
さまざまなリズムでの歩行をなるべく大股で行うように練習しておくと
対応力が向上してすくみ足対策につながります。
転倒予防のための環境整備
すくみ足対策として、自宅内の環境整備は転倒予防に重要です。
以下のポイントに注意して整備を行いましょう
- 床材や靴下の工夫
- 滑りにくい素材を使用
- 手すりの設置
- 廊下、トイレ、お風呂場など実際の生活上での動きに合わせて
- リハビリの専門職や住環境コーディネーターなどへのご相談を推奨
- 照明の改善
- 夜間の足元などは自動で点灯するものがおすすめ
- 障害物の除去
- トイレまでの導線などよく使う場所について
- つまずきやすい物を片付けておくことが重要
- ものを取る際にかがまなくていいようにしておくこともおすすめです
住環境は十人十色なので、個別にご相談頂くことをお勧めいたします。
遠隔リハビリのアプリ「リハモ」でもご相談頂けます。
日常生活での注意点とコツ
日常生活をより安全に過ごすためのポイントをご紹介します。
歩行時の注意点
- 急がず、ゆっくりと歩く
- 大きな歩幅を意識する
- 視線は前方に向ける
- 方向転換は大回りで行う
すくみ足が起きた時の対処法
- まずは深呼吸をして落ち着きましょう。
- 前かがみになっている場合は身体を起こして姿勢を整えましょう。
- 安全を確保して、その場で小さく足踏みをしてみましょう。
- まず足を横や後ろに一歩出してから歩き始めることで、スムーズな歩行が再開できることがあります。
まずは姿勢を整えて安全を確保することが重要です。
状況に応じて、杖やシルバーカーの使用も検討してみてください。
オンラインでの専門家相談
遠隔リハビリのスマホアプリ「リハモ」を活用することで、理学療法士などの専門家に直接相談することができます。
自宅にいながら専門的なアドバイスを受けられるため、効果的なリハビリテーションの実施が可能です。
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参考文献
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