更新日:2024.12.09リハビリパーキンソン病の姿勢異常の原因とリハビリ
パーキンソン病の患者さんに多く見られる前傾姿勢や体の傾きは、転倒リスクや動作の不自由さにつながる重要な課題です。
本記事では理学療法士の視点から、パーキンソン病の姿勢異常の原因とその改善に向けたリハビリ方法について詳しく解説します。
目次
パーキンソン病と姿勢の関係
姿勢に影響するパーキンソン病の症状
パーキンソン病は、中脳の黒質で生成されるドーパミンという神経伝達物質が減少することで発症します。
この病気では筋肉の硬直(筋固縮)、運動の遅れ(寡動)、姿勢反射障害が特徴的です。
これらの症状が重なり、患者さんは次第に姿勢を保つことが難しくなります。
前傾姿勢が起こる原因
前傾姿勢は、筋固縮による体幹筋のバランスの崩れや、重心をコントロールする能力の低下が原因です。
特に体の前側の筋肉が過度に緊張し、背筋や体幹の支持力が追いつかないことで生じます。
姿勢反射障害のメカニズム
姿勢反射は、バランスを崩した際に体を元の位置に戻すための反射的な運動ですが、パーキンソン病ではこの反射が著しく低下します。
脳幹や小脳の連携が十分に機能せず、姿勢を支える自動的な動きが鈍くなるためです。
姿勢改善へのリハビリテーション
パーキンソン病のリハビリのポイント
リハビリでは、患者さんの日内変動(症状が時間帯によって変化すること)に合わせて計画を立てることが重要です。
たとえば、薬の効果が最も高い「オン状態」の時間帯に、体幹や下肢のトレーニングを行うと効率的です。
姿勢改善を目指すトレーニング
パーキンソン病による姿勢異常を改善するためには、柔軟性の向上と筋力強化をバランスよく取り入れることが重要です。以下に、簡単に実践できるトレーニングを紹介します。
➀お腹の前の筋肉(腹直筋)のストレッチ
仰向けに寝て、背中の下に丸めたバスタオルやクッションを入れます。その状態で両腕を上に伸ばして「ばんざい」の姿勢を取ります。お腹の筋肉を心地よく伸ばす感覚を意識しましょう。この運動は、前かがみになりがちな姿勢を改善する効果があります。
➁体の横の筋肉のストレッチ
椅子に座り、タオルを両手で持って頭の上に掲げます。そのままゆっくりと体を左右に倒し、体の横の筋肉(側腹筋)を伸ばします。倒す際には、息を吐きながら行い、無理のない範囲でストレッチしましょう。これにより、体のバランスが整いやすくなります。
➂背筋を伸ばす筋肉のトレーニング
四つ這いの姿勢になり、右手と左足を同時に伸ばします。このとき、背筋がまっすぐになるように意識してください。数秒間キープしたら、反対側(左手と右足)も同様に行います。この運動は、体幹を強化し、姿勢を保つ力を向上させます。
これらのトレーニングを日常生活に取り入れることで、姿勢の改善に役立ちます。
継続的に行うことで、症状の進行を遅らせたり、生活の質を向上させる効果が期待できます。
リハビリ成功のための協力体制
モチベーションを高める工夫
パーキンソン病では、症状が時間帯や日によって変化します。
そのため、日内変動を記録する表を作成し、患者さん自身が体調の変化や日々の積み重ねを実感できるようにすることが効果的です。
専門家のサポートを受ける
成果を共有するフィードバックの重要性
リハビリの成果を実感するためには、定期的な効果測定が欠かせません。
たとえば、姿勢の変化を写真で記録したり、歩行速度を測定したりすることで、ご自身の現在地を把握しながら進めることがおすすめです。
お一人では難しいことも多いかと思いますので、まずは専門家に相談してみてください!
リハモでもご相談をお待ちしております。
参考文献
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