更新日:2023.01.31療法士キャリア理学療法士とスポーツ分野
筆者は日ごろ、普段訪問リハビリやフィットネスジムで仕事をしていますが、それ以外に時折スポーツ分野に携わる機会があります。
今回はその中で感じるやりがいや難しさ、更には理学療法士としてスポーツ分野に関わる意義について、自分が感じていることを簡単にではありますが記事にしていきたいと思います。
良ければお時間があるときに、気張らず読んで頂ければと思います。
理学療法士を目指すきっかけ
実は私が理学療法士を目指したのも、高校生の部活での怪我がきっかけでした。
小学校から野球を始め、高校でも野球部に所属した私は、他の高校球児と同じように甲子園を目標に部活に取り組んでいました。
しかし、肩や肘を痛め、満足にプレー出来ないことも多く、何度も心が折れそうなときがありました。
そんな中支えて下さったのが、外部コーチとして部活に来ていたトレーナーさんでした。
怪我の事だけでなく、自分が漠然と抱えていた不安にも親身になってくれたのを今でも覚えています。
そのトレーナーさんが理学療法士として普段はリハビリの業務をしていると聞き、
「理学療法士になれば、勉強したことを活かして自分が好きなスポーツ分野に関われる」
「スポーツに関わって、自分みたいに怪我で苦しむ人の役に立ちたい」
と思い、理学療法士になろうと思いました。
スポーツ分野で感じるやりがいや難しさ
それから理学療法士になり、約3年前に地元の陸前高田市に戻ってきた私に、先輩を通じて
「高田高校の女子バレーボール部のトレーナーをして欲しい」
といった話が来ました。
バレーボールという全く未経験のスポーツ、ましてや春高バレーやインターハイにも出場経験があるチームということもあって自分に務まるのか不安もあり迷っていましたが、勉強してきたことが少しでも地元や母校に役立つならと思い、トレーナーとして練習や大会に帯同するようになりました。
はじめは、普段の仕事と関わる人の年齢層や身体機能に大きな違いがあるので、戸惑う事もとても多かったです。
例えば、普段は
「膝が痛くて歩きづらい」
という人に対して、どのくらい筋力や関節の動き方に制限があるのか、歩き方にどういう問題があるのかなど診ていくのですが、年齢も若く筋力等の身体機能が高い高校生の場合は痛みがあっても他の部位でかばって動けてしまう事も多く、動作の中で異常な点を見つける事がとても難しく感じました。また、当然ですが身体の使い方も野球とは異なるため、正しいフォームや身体の使い方を把握したり、バレーボールの怪我の特性*¹を理解することも難しかったです。
しかし、難しさもある一方、怪我で苦しんでいた選手が大会で活躍した時やチームが大会を通して成長し勝ち上がっていく嬉しさを選手達と共有出来るといったやりがいも沢山感じることができます。
また、理学療法士としてのやりがいとは少し異なりますが、一生懸命取り組んでいる姿を見る度に自分が理学療法士になろうと思った高校生時代を思い返す事も多く、部活動に顔を出すたびに活力を貰っているなと感じています。
理学療法士がスポーツ分野に関わる意義
理学療法士の数は、日本理学療法士協会に入会している方だけで全国に約13万人、資格を有している方になると令和4年度にも20万人を越えるとも言われています*²。
2011年度(平成23年度)には有資格者数が約9万人だったことを考えると、ここ10年あまりで倍以上に増えていることがわかります。
また、厚生労働省が発表した理学療法士・作業療法士の需給推計によると、2040年には供給が需要の1.5倍になると予想され*³、「理学療法士が淘汰されていく時代」になっていく可能性が考えられます。
こうした影響を受けないためにも、理学療法士としての職域を拡げていくことは重要です。
現在、理学療法士の就業場所としては病院等の医療施設が圧倒的に多く、6割以上を占めます。*⁴
しかし、2025年問題をはじめとする少子高齢化に伴い、病院の数も減少していくと言われています。*⁵
リハビリテーション業界では、介護業界、特に訪問など在宅サービスの需要が高まっており、それらに従事する理学療法士の数も増えていますが、理学療法士として仕事を守っていく方法の1つとして、理学療法士がスポーツの分野に携わる意味合いはとても大きいのではないかと感じます。
私も記事を作成していく過程で、理学療法士として普段の業務はもちろん、スポーツ分野への関わりを通して、地元を少しでも活気ある街に出来るように頑張っていきたいと改めて思いました。
拙い文章であありましたが、記事を通して理学療法士として自分自身の働き方について考えるきっかけになっていれば幸いです。
最後までありがとうございました。
参考文献・参考サイト
*1 バレーボール競技者の傷害調査 第2報
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680552028544
*2 統計情報|協会の取り組み – 公益社団法人 日本理学療法士協会
理学療法士国家試験合格者の推移
https://www.japanpt.or.jp/activity/data/
*3 医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士分科会(第3回)
理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000499148.pdf
*4 統計情報|協会の取り組み – 公益社団法人 日本理学療法士協会
会員の分布
https://www.japanpt.or.jp/activity/data/
*5 2025年問題が医療に与える影響と、病院に必要となる対策
https://carnas.njc.co.jp/column/crisis-increasing-elderly-population-2025/