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更新日:2024.04.05ヘルスケア失語症の方への遠隔での言語療法は対面のリハビリと同等の効果

失語症の方のリハビリ(言語療法)は、言語聴覚士さんと対面で行うのが一般的です。

最近は言語療法をビデオ通話などを用いた遠隔で行っている機関も増加してきており、
その効果を検証した報告もふえております。

今回は、失語症に対して遠隔リハが効果があるのか、
もっとも確実性が高いとされている方法で検証していた論文についてご紹介します。

論文の紹介

今回紹介する論文のタイトルはずばり

Telerehabilitation for people with aphasia: A systematic review and meta-analysis

日本語にすると

失語症患者に対する遠隔リハビリテーション:系統的レビューとメタ分析

となります。

そのままですね。

 

系統的レビューというのは、

数ある論文の中から、

質の高い(確実性の高い)論文を選ぶために一定の基準を設置して

その基準を満たす論文だけを集めて確認しましたということです。

 

 

メタアナリシスというのは、

系統的レビューで集めた確実性の高い論文のデータをひとまとめにして、

改めて分析をかけて、それでも効果があるのかを確認するという分析方法です。

 

 

少しややこしいですが、

要するにめちゃめちゃ厳しい審査を潜り抜けたエリート研究達をまた分析しなおすという

本当に効果があるのか疑いに疑った結果どうなったかという論文です。

 

 

これで効果が認められれば本物です。

ジャニーズでいうところの嵐です。

最近はジャニーズとはいわないのでしょうか。

 

失語症者への遠隔リハビリは効果があるのか

一般公開されているアブストラクトの部分を引用させて頂きます。

 

Results revealed thattelerehabilitationand face-to-face speech and languagetreatmentare comparable with respect to the gains achieved in auditory comprehension (SMD = −0.02; 95% CI −0.39, 0.35), naming accuracy (SMD = −0.09; 95% CI −0.44, 0.25), Aphasia Quotient (MD = −2.18; 95% CI −16.00, 11.64), generalization (SMD = 0.77; 95% IC −0.95, 2.49) and functional communication skills (SMD = −0.08; 95% IC −0.54, 0.38).

 

数字を省略して日本語にすると

 

聴覚理解、命名精度、失語症指数、般化、および実用コミュニケーション能力において得られた効果は同等であった。

 

となります。

 

 

聴覚理解は、耳で聞いた言葉や文章を正しく理解できる力

命名精度は、名前を間違えずにいえる力

失語症指数は失語症の程度を表す指数です。

般化は練習した内容を実生活で使えるかです。

実用コミュニケーション能力は実用的なコミュニケーション能力のことです。

 

 

このように、様々な項目で対面の言語療法と同程度の効果を示しており、

遠隔リハビリの利点を活かせる人は、

練習の回数が増えることでより効果が得られやすくなることが期待できるのではないでしょうか。

まとめ|遠隔での言語療法は対面と同等の効果が得られる

 

お示しした通り、

遠隔での言語療法は対面と同様の効果が期待できます。

 

  • 言語リハビリを受けたいのに近くに言語聴覚士がいない。
  • まだ回復していないのに病院の言語リハビリが終了してしまった。
  • 家族の付き添いが必要なので気軽に通院リハビリに通えない。
  • 以前のように家族や友達とのコミュニケーションを楽しみたい。

 

というかたはぜひ、

遠隔での言語療法を試してみてはいかがでしょうか。

 

 

リハモでは言語療法版の「ことばリハモ」もありますのでよろしければどうぞ。

ことばリハモ

参考文献・参考サイト

Cacciante, Luisa, et al. “Telerehabilitation for people with aphasia: A systematic review and meta-analysis.” Journal of communication disorders 92 (2021): 106111.

この記事を書いた人

東馬場要1991年奈良県生まれ。理学療法士・医学修士。現在はロッツ株式会社でリハビリを実践しながら、健康格差に関する研究、楽しい介護予防を目的とした市民活動団体の設立など活動中。学生時代の経験から志した「健康に格差のない、障害があっても長生きを喜べる社会」の実現を目指している。

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