お問い合わせ

更新日:2024.06.03ヘルスケア【2024年版】パーキンソン病と便秘|原因と予防と治療法|看護師監修

はじめに

パーキンソン病に自律神経症状があり便秘に苦しむ人も少なくありません。

便秘は患者の日常生活に大きな影響を与え、症状の悪化や他の合併症を引き起こすことがあります。

そのため、便秘の管理はパーキンソン病の治療の一環として非常に重要です。

この記事では、パーキンソン病患者とその家族が便秘にどのように対応すべきかを具体的に解説します。

パーキンソン病における便秘の原因

自律神経系の障害

パーキンソン病は自律神経系に影響を与え、腸の動きを鈍らせることがあります。これが便秘の主な原因の一つです。

 

自律神経系が正常に機能しないと、腸の蠕動運動(内容物を前進させる動き)が遅くなり、便秘が生じます。

 

 

運動不足と筋力低下

 

パーキンソン病により運動が制限されることで、腸の蠕動運動が低下し、便秘が引き起こされることがあります。

 

運動不足は筋力低下を招き、それがさらに便秘を悪化させる悪循環を生み出します。

 

 

食事の変化と水分摂取不足

 

食事のバランスが崩れたり、水分摂取が不足したりすると、便秘が悪化する可能性があります。

 

特に高齢のパーキンソン病患者は、水分摂取を怠りがちであり、それが便秘を引き起こす要因となります。

 

 

 

薬物療法の副作用

 

パーキンソン病の治療薬の中には、便秘を引き起こす副作用を持つものがあります。

 

例えば、ドーパミン作動薬や抗コリン薬は腸の動きを抑制し、便秘を悪化させることがあります。

 

 

便秘の症状と診断

便秘の一般的な症状

 

便秘の一般的な症状には、排便回数の減少(週に3回以下)、硬い便、排便の困難、腹部の張りや痛みがあります。

 

これらの症状が続く場合は、医師に相談することをおすすめします。

 

 

医師の診断や治療に基づくことが重要

 

医師による診断と定期的なフォローアップは、適切な治療と管理に不可欠です。

 

便秘の症状がある場合、医師は患者の食事、運動、薬物療法の状況を評価し、最適な治療法を提案します。

 

お一人で抱えずに、早めに医師に相談しましょう。

 

 

便秘の予防と生活習慣の改善

バランスの取れた食事の重要性

 

  • 食物繊維の摂取: 野菜、果物、全粒穀物を豊富に取り入れることが重要です。食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを促進します。1日に少なくとも25〜30グラムの食物繊維を摂取することが推奨されます。

 

  • 水分補給の推奨: 1日2リットル以上の水分を摂取することが望ましいです。水分は便を柔らかくし、排便を容易にします。

 

 

適度な運動とストレッチ

 

毎日の適度な運動やストレッチは、腸の蠕動運動を促進し、便秘の予防に役立ちます。

 

例えば、30分の散歩や軽い体操、排便体操などを日課に取り入れることが効果的です。

 

 

定期的な排便習慣の確立

 

毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることで、排便リズムを整えることができます。

 

特に食後30分以内にトイレに行くことが効果的です。

 

 

 

薬物療法による便秘の治療法

一般的な便秘薬の種類と使用方法

 

 

下剤や浣腸の適切な使用: ピコスルファートなどの薬剤は、医師の指示に従い正確に使用します。

 

例えば、ピコスルファートは就寝前に服用し、翌朝の排便を促すことが一般的です。

 

滴下量によっても反応が異なりますので、ご自身の状況の記録などを基に、医師と相談しながら調整してみてください。

 

 

 

その人の状態に適した便秘薬の選択

 

パーキンソン病以外にも様々な疾患やお身体の状態があると思います。

 

例えば、リンゼスは腎機能が低下している患者でも使用できる薬剤です。

リンゼスは腸の水分分泌を促進し、便の通過を容易にします。

 

このように、お一人お一人の身体の状態にあったお薬の選択を医師や看護師に相談しましょう。

 

 

薬物療法の調整と専門医の関与

 

薬の効果を定期的に評価し、必要に応じて調整することが重要です。

 

医師や専門家と密に連携することが求められます。

 

例えば、定期的な血液検査や症状のモニタリングを通じて、薬の適切な投与量を決定します。

 

上記に記載したものはあくまでも一例ですので、実際には、医師や看護師の指導に基づいて行ってください。

 

 

内服薬以外の治療法と介入

 

浣腸や座薬の使用

 

便秘が重篤な場合、浣腸や座薬の使用が推奨されることがあります。これらの方法は看護師の指導のもと、安全に実施されるべきです。例えば、週に1〜2回の浣腸が効果的です。

 

 

摘便の重要性と実施方法

 

摘便は、便秘が深刻な場合に必要となることがあります。看護師の訪問時に実施されることが多く、専門的な技術が求められます。定期的な訪問を通じて、便の詰まりを防ぎます。

 

 

患者と家族へのアドバイス

便秘の症状管理のための日常生活の工夫

 

 

  • バランスの取れた食事: 食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。

 

  • 適度な運動: 毎日の軽い運動を取り入れましょう。

 

  • 定期的な排便習慣: 毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけましょう。

 

  • パーキンソン病のコントロール: 動きの日内変動を記録したり、排便があった日時を記録することで、自身の状態を把握し、受診時に担当医に相談することが大切です。

 

 

相談先とサポート体制

 

パーキンソン病患者会やオンラインでのリハビリテーションを活用することで、適切な支援を受けることができます。

 

これにより、患者は最新の治療情報やサポートを受け取ることができます。

 

例えば、オンラインリハビリテーションは、自宅にいながら専門家の指導を受けることができ、便秘の改善に役立ちます。

また、患者会では同じ病気を持つ人々と情報を共有し、励まし合うことができます。

 

 

お一人で抱えすぎず、相談しながらご自身の排便のパターンを確立して言って頂ければと思います。

 

なるべく薬に頼らずに便秘解消を試みたい方はこちらの記事もチェックしてみてください!

 

生理前は便秘になりやすい?薬に頼らない便秘解消法を看護師が紹介

 

この記事を書いた人

東馬場要1991年奈良県生まれ。理学療法士・医学修士。現在はロッツ株式会社でリハビリを実践しながら、健康格差に関する研究、楽しい介護予防を目的とした市民活動団体の設立など活動中。学生時代の経験から志した「健康に格差のない、障害があっても長生きを喜べる社会」の実現を目指している。

関連記事

アプリのダウンロードはこちら

App Store Google Play