更新日:2023.01.31ヘルスケアなんかだるい…原因は自律神経失調症?概要と対策を理学療法士が解説
気候や環境変化の多い時期、朝スッキリ起きれなくてなんかだるい、仕事や家事、やりたい事があっても、なんとなくやる気が起きないなど。
こんなお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
その原因はもしかしたら、自律神経失調症の症状かもしれません。
ここでは、そんなお悩みを持つ方に向け、心も体も楽になれる改善方法などをご紹介していきます!
目次
自律神経ってどんな神経?
自律神経とは?
随意的(意識的)に体の運動をコントロールする「運動神経」に対して、
不随意的(意思とは無関係)に、循環・呼吸・消化・体温調節などの機能をコントロールするのが「自律神経」といいます。
どんな運動に関わっているかというと・・・
【血圧、心拍数と脈拍数、体温、消化、代謝、水分と 電解質のバランス、体液(唾液、汗、涙)の分泌、排尿、排便・呼吸・体温・内臓など多岐にわたります。】
「自律神経」には交感神経と副交感神経の2種類あります。
それぞれの機能について解説していきます!
「交感神経(こうかんしんけい)」とは
交感神経は、身体の活動性を生み出す神経です。
日中や身体活動時に亢進し、全身の筋肉の血流を上げたり、酸素を沢山取り込めるように、気管を拡張します。
活動に必要なエネルギーを作り出して、外部的なストレスに耐えて、体を動かしやすくし、生き残るために必要な神経系です。びっくりすると鳥肌がたったり、極度の緊張や怒りで顔が赤くなるのも、交感神経が亢進して血流が上がることが原因であると言われています。
「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」とは
副交感神経は、身体の活動性を休息させる神経です。
夜やリラックスする際に亢進し、主に消化活動を担当します。
食べたものを栄養にするため、内臓が働きやすいよう、体をリラックスさせます。
食後に眠くなるのもこの副交感神経が働いて、脳に行く血流を消化器に回すためと言われています。
これら、交感神経、副交感神経が適切な時に働くことで、恒常性が保てる。
実は、この副交感神経がとっっっっても大事なんです!!!
その事実については、後ほど解説しますね!
自律神経は何によって乱れる?
自律神経のバランスが崩れる直接的な原因は特定できませんが、『ストレス』や『生活習慣の乱れ』、『疾患』、『ホルモンバランスの変化』が乱れる原因になっていることが多いとされています。
バランスが取れている状態とは?
ズバリ、交感神経と副交感神経の両方が適切な時にしっかり働いている状態!!
つまり、交感神経と副交感神経のバランスが大事なんです!
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、不調が起こってきてしまいます。
基本的には、「交感神経」が優位な状態が続くと、起こりやすいと言われています。
どんな時に、どの神経が働いているか?それを意識するだけで、対処の方法がほんのすこーしわかってくるかもしれません。
例えば)
【緊張したとき】・・・乱れる要因
心臓がバクバクしたり
汗をかいたり
手が冷たくなる
これらは、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか?
では、なぜ起こっているのでしょうか?
次の図1を見ると、交感神経の働きが優位になっていることがわかりますよね!
図1
引用:自律神経とは?健達ねっと
URL:https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/1422
このように、どちらかが、優位になってしまうアンバランスな状態が良くないのです。
『自律神経失調症』とは?自律神経のバランスが乱れると現れる不調・症状について
では、自律神経バランスが崩れることによって起こる不調・症状はどんなものがあるのでしょうか?
また、よく聞く『自律神経失調症』についても解説していきます。
自律神経失調症とは?
自律神経がストレスなどによって正常に機能しないことによって起こるさまざまな症状をいいます。
主に、身体的症状、精神的症状の二つに分けることができます。
身体的症状とは?
倦怠感、頭痛、腹痛など発汗や息切れ、食欲不振、喉のつまり感、めまいや身体のほ てりなど、様々な身体的症状が現れるのが特徴です。
精神的症状とは?
イライラや不安感などからくる不眠、記憶力・集中力の低下などがあります。
また、その他にも落ち込みやすくなったり、何事にも興味がわかないなど「抑うつ状 態」にもなったりすることもあります。
実は、自律神経失調症は“気のせい”ではなく、 ちゃんと原因がある病気です !
自律神経失調症の原因にはどんなものがある?
【ストレス】:仕事量が多い、仕事時間が長い、人間関係など
【生活習慣】:寝る前にスマホをよく見る、浴槽へ入る習慣がない、食事バランスが乱れているなど
では、「異常が見つからないのなら、自律神経失調症は 病気ではないの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
検査で原因がわからないのは、自律神経の働きを正確に調べる検査方法がないためや、この病気の背景には、精神的ストレスなどの検査では推し量れない要素が多いためです。
検査で「異常なし」といわれると、周囲の人から、 「気のせい」「大げさ」「怠けている」と見られてしまうことも、もしかしたらあるかもしれませんね。
個人的には、心や体がざわざわする感覚が続いていると、自律神経が乱れているのかなと思ったりしています。心や体の声を聞くことは意外と大事かもしれません。
まずは認識して、対処の方法を身につけることで、うまく自律神経とうまく付き合えるのではないでしょうか。
自律神経失調症のセルフチェック項目
先ほど、ご自身の自律神経の状態を知ることが重要とお伝えしました。
その際、やみくもに悩むのではなく、以下のセルフチェック項目*1をご活用いただくことで、簡単に「ご自身を知る」ことができるのでお勧めです。
あてはまるものに○印をしてみましょう。
[身体的チェック]
( )よく頭痛がする、頭が重い
( )胸が圧迫されるようで苦しい
( )よく肩がこる
( )めまいがする
( )腰が痛い
( )全身がだる感じがする
( )のどがつまる感じがする
( )手足がしびれる
( )手足が震える
( )下痢や便秘になりやすい
[心のチェック]
( )これから先の自信がない
( )朝、気分がすっきりしない
( )朝、早く目が覚める
( )根気が続かない
( )なんとなく不安でイライラする
( )仕事にとりかかる気分になれない
( )物事がなかなか決断できない
( )人に気軽に会えない
( )集中力がなくなる
( )ふと死にたくなる
〇個以上チェックがあったかたは次の対処法をチェック!
丸が 10 個以上の人は要治療。かかりつけ医に相談 し、適切な治療を受けてください。
5〜9個の人も、要注意。ストレス対策をし、規則的 な生活を心掛けましょう。
5個未満の人でも、気掛かりなことがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。
自立神経を整える秘策3選(呼吸・風呂・瞑想)
次は、自律神経を整える方法についてです!
先ほど、規則正しい生活とストレスを避けることを対策としてお伝えしましたが、
ここからはより具体的な対策について提示致します。
これを抑えていれば、次第に自律神経は整っていくはず!
ポイントになるのは、副交感神経です!
深呼吸
腹式呼吸の効果は、新鮮な酸素を体内に送り込むことやリラックスできることです。
腹式呼吸の特徴はゆっくりと大きく呼吸をするところにあります。
ストレスを感じている方は気づかないうちに呼吸が浅くなり、交感神経が優位に働きます。
すると自律神経失調症をはじめ呼吸困難による呼吸器系の疾患などを引き起こし、その結果心身に影響を及ぼします。
腹式呼吸を行い、新鮮な酸素を体内に取り込むことやリラックス効果により、副交感神経が優位となりストレス解消につながります。
【腹式呼吸の方法】
腹式呼吸の方法は以下の通りです。
- 仰向けに寝転びゆっくり口から息を吐く
- 鼻から深く息を吸い込む
- 再度、口から息を吐きだす
- 1~3の動作と呼吸を繰り返す
腹式呼吸のポイントは吸って吐くではなく、吐いてから吸うことにあります。
また腹部に雑誌など本を乗せることで、腹式呼吸を目視できるため意識しやすくなります。
さらに横になることができない時は、椅子に腰かけて行うことも可能です。
その場合はへその下辺りに両手を当て、下腹部の収縮と膨らみを意識します。
お風呂(温度と時間が大事)
疲労には自律神経が大きく関わっています。
活動的な交感神経ばかりを働かせているといつまでたっても心身の疲労感はとれません。
リラックスした状態にしたいときは副交感神経を優位にする必要があるのです。
この自律神経のバランスを整えるための方法として入浴があります。
では、具体的な入浴の効果を見ていきましょう。
【温熱効果】
湯船に浸かって体が温まると全身の血行が良くなります。
体温を調節しようとする発汗が促進され新陳代謝が良くなることで疲労回復につながります。
【水圧によるマッサージ効果】
首までお湯に浸かっているときの全身にかかる水圧は約520kg。
全方向から均等に圧力がかかるので特に何も感じませんが、この水圧によるマッサージ効果はかなり期待できます。
下半身にたまりがちな血液が心臓に向かって押し上げられるので、筋肉がほぐれ血液やリンパの流れが良くなります。
それによって足のむくみや疲れをとってくれます。血行やリンパの流れが促進され、循環器系の機能改善にも効果的です。
【浮力による効果】
浮力によって体が受ける体重は陸上の10分の1になります。
下半身や体幹部の筋肉や関節の緊張を和らげることで、疲れがとれてリラックスできます。
瞑想
副交感神経の働きを促すことで、自律神経失調症のもととなる交感神経の過活動を抑えることが大切とお伝えしてまいりました。
最後に、最も手軽で、かつ効果が得られやすい瞑想についてご紹介します。
瞑想のやり方には諸説ありますが、筆者が日々行っているのは、
・目を閉じて、息をすうこと・はくことに集中する。
・何か考えが浮かんで来たら、考えが浮かんで来たなあと捉えてそっと横におく。
ただこれだけですが、昼休みに(昼寝もかねて)行うことで一旦リセットされる感覚を感じて頂けるかと思います。
このように、瞑想を行うと副交感神経が働きやすくなりますが、
それはなぜでしょうか?次のような理由があります。
(1):深い呼吸になる
瞑想をする時、意識的に呼吸に意識を向け、瞑想しているうちに自然と深く落ち着いた呼吸になっていきます。
この【呼吸】が自律神経と大きな関わりがあります。
自律神経は自分の意思でコントロールすることはできませんが、【呼吸】は自律神経に支配されながらも自分でもコントロールすることができます。
深い落ち着いた呼吸は副交感神経を優位に働かせます。
逆に浅い呼吸は交感神経と関連しています。
緊張した時に、深呼吸すると気持ちが落ち着いた経験があるかもしれません。
呼吸をコントロールすることが、自律神経のバランスを整えるのに効果的なのです。
(2):ストレスを受けにくくなる
脳には、ストレスを受けた時に活性化する扁桃体という部位があります。
この扁桃体がストレスに反応すると、視床下部という自律神経のコントロール部位から交感神経を優位にされる指令がでます。
瞑想を続けることで、この扁桃体の過剰な反応が軽減することでストレスを感じにくくなるそうです。
1日1回、瞑想で心を洗おう
朝起きてから寝るまで、毎日色々な出来事が通り過ぎていきます。些細なしあわせを大事に出来る日もあれば、ちょっとしたことで腹が立つなどして心が疲れる日もありますよね。
それは自然なことなので安心してください。大切なのは、そういった感情を溜め込むことなく日々リセットすることです。その際に役に立つのが瞑想です。
1日1回、瞑想の時間にひたひたに浸かってを心を洗いましょう。
まとめ
今回、自律神経失調症についてお話してきました。
自律神経は、様々な機関に影響を及ぼしており、異変にもなかなか気づきにくいのではないかと思います。
大切なことは、
ストレスをストレスと認識して、自分の体に耳を傾けてあげることなのではないかと思います。
それに気づいたら、リラックスする方法を実践して副交感神経を高めることを考えてみてください。
その方法は、人によって異なるかもしれません。
いつも頑張られている皆さんへ。
是非、ほっと一息をつく時間を作ってみてください。
let’s 副活(副交感神経高める活動)!!
参考文献・参考サイト
*1:一般社団法人.日本臨床内科医会.わかりやすい病気のはなしシリーズ19.自律神経失調症
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
図1
引用:自律神経とは?健達ねっと