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更新日:2023.01.13ヘルスケアサービス付き高齢者向け住宅なら高齢者は安心して暮らせる?対象者や費用について詳しく解説

日本では高齢の単身者や夫婦だけの世帯が増加しており、高齢者が安心して暮らせる住宅を確保することが必要です。

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせるバリアフリー仕様の住宅で、専属のスタッフが生活相談や見守りサービスを行っており、高齢者の生活をサポートしています。

この記事では、サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容や費用について解説をします。
親が弱ってきても同居での介護ができない人や、自身が高齢になったときの住まいについて知りたい人はぜひ、参考にしてください。

サービス付き高齢者向け住宅とは

ここでは、サービス付き高齢者向け住宅の概要や入居できる人の要件について解説します。

高齢の単身者・夫婦世帯が居住できる賃貸等の住まい

サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が安否確認や生活サービスを受けながら、自立的な生活を送ることができる賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅に近い住まいで、部屋の中はバリアフリー仕様になっています。

 

「賃貸住宅」なので、有料老人ホームのように高額な入居一時金を支払わなくても入居できるのがメリットです。家賃も市場相場となっているので、一般的な賃貸アパートの1室を借りる場合とそれほど変わりません。大きな負担がないため入居しやすく、近年、注目されています。

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

サービス付き高齢者向け住宅に入居できる人の要件は以下の通りです。

 

  • 60歳以上
  • 要介護・要支援認定を受けている60歳未満の者 *1

 

基本的に自立した生活が可能で介護度が軽いものの、人の手を借りずに自宅で暮らすのは難しい人が対象です。施設により入居条件に違いがあり、独自の入居条件を設けています。

高齢者にふさわしい部屋の設備やサービスを満たす必要がある

図1)厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/

 

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者にふさわしい部屋の設備やサービスに関する基準を満たしている住宅です。段差のない床に仕上げ、トイレや玄関に手すりを設置するなど、部屋の中をバリアフリー仕様にしています。

 

サービス付き高齢者向け住宅の必須サービスは、「安否確認」と「生活相談」のみです。食事や介護(入浴、排せつの介助など)、病院への送り迎えなど生活支援のサービス提供は、住宅により違いがあります。

 

サービス付き高齢者住宅のサービス内容

サービス付き高齢者住宅では、高齢者が不自由なく暮らせるサービスを提供しています。

ここでは、主なサービス内容について解説します。

高齢者が安心して暮らせるサービスを提供

サービス付き高齢者住宅が提供している主なサービスは以下の5つです。(下図2)

 

  1. 食事サービス
  2. 家事援助サービス
  3. 生活支援サービス
  4. 介護サービス
  5. 健康管理サービス

 

高齢者が食べやすいメニューを管理栄養士などが考案し、体調に合わせて介護食も提供します。居室の掃除や衣類の洗濯などの家事援助サービス、病院の送迎や日常の見守りなどの生活支援も主要サービスです。

 

身体機能が衰えた人には入浴や排泄などの介護サービスを提供し、服薬管理や医療機関との連携により高齢者の健康を守ります。

 

図2)厚生労働省「高齢者向け住まいを選ぶ前に消費者向けガイドブック」  P4
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-03.pdf

食事提供サービスは約96%、入浴等の介護サービスは約48%が提供

見守り確認と生活相談サービスは全ての住宅で提供されており、食事提供サービスの実施率は約96%です。入浴等の介護サービスは約48%、調理等の家事は51.8%、健康の維持増進は61.6%で、ほぼ半数の住宅で高齢者に必要なサービスを実施しています。

 

サービス付き高齢者住宅では9時から17時の時間帯で、少なくとも1人の専属スタッフがいますが夜間は常駐しておりません。入居者はスタッフがいない時間帯に異変が起きたときには、各居住部分に設置する通報装置で知らせます。

 

図3)厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅に関する現状」P9

https://www.mlit.go.jp/common/001278965.pdf 

 

 

サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームの違い

高齢者向けの施設として人気を集めているのが、「サービス付き高齢者向け住宅」と「有料老人ホーム」です。ここでは、両者の違いについて解説します。

介護サービスの提供方法に違いがある

サービス付き高齢者住宅と有料老人ホーム(介護付)の明確な違いは、介護サービスの提供方法に違いがあることです。介護付有料老人ホームは全てのサービスをホーム内で提供しています。

 

サービス付き高齢者住宅と住宅型の有料老人ホームは、食事や安否確認、生活相談のサービスは住宅内で提供しますが、介護サービスは外部の介護保険事業者が行うのが特徴です。入居者は自分に必要なサービスを選んで契約します。

 

入居するときは身体的機能に問題がなくても、将来的に弱まる可能性があるため、契約する際には日常的なサポート内容をきちんと確認するようにしましょう。

図4)厚生労働省「高齢者向け住まいを選ぶ前に消費者向けガイドブック」P2

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-03.pdf 

 

 

食事の世話などのサービスを提供していれば有料老人ホームに該当

サービス付き高齢者向け住宅の必須サービスは「生活相談」と「安否確認」の2つです。これらのサービスしか提供していない場合は、「有料老人ホームに該当しないサービス付き高齢者向け住宅」として位置付けられます。

 

一方、必須サービスの他に、「食事の提供」「介護の提供」「家事の供与」「健康管理の供与」のいずれかを実施している場合は、「有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅」です。高齢者を入居させ、1食でも食事を提供するサービスを行っている場合などが当てはまります。

 

図5)厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/

 

 

サービス付き高齢者住宅の設備と費用目安

床面積は原則25㎡以上でバリアフリー構造

サービス付き高齢者住宅は高齢者が過ごしやすいように、居室の広さや設備などに一定の要件が定められています。床面積は原則25㎡以上で、床が平らで手すりなどが設置されているバリアフリー構造が基本です。25㎡は畳数に直すと約15.5畳で、1人暮らしにちょうど良い広さとなります。*2

 

賃貸契約を締結する際には、高齢者が長期的に安定した住まいを確保できる契約であることが必要です。

「敷金・家賃・サービス対価以外の金銭を徴収しない」

「長期入院を理由に事業者から一方的に解約できない」

などの基準を満たす必要があります。 *3

 

居室の中は高さや角度が調整できる電動ベッドやヘルパーコールのあるトイレなどが完備されており、高齢者が安心・安全に暮らすことが可能です。

 

施設により異なりますが、共用部分にはスタッフが常駐する事務室やリビング・ダイニングルームなどが設置されています。浴室は各居室に完備されているケースも少なくありません。

図6)厚生労働省「高齢者向け住まいを選ぶ前に 消費者向けガイドブック」P3
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-03.pdf 
 

 

 

 

 

家賃と見守りサービスの費用目安は月額約14万円

サービス付き高齢者住宅の月額費用は、約14万円程度が目安です。(下図7)

費用のうち、家賃の平均額は約6万円で、有料老人ホームと比較すると約5万円程度低くなります。

 

ただし、住宅のあるエリアにより格差があり、東京や大阪などの大都市圏では家賃が高く、地方のほうがコストを抑えられます。

 

図7)厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金」P2
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000102200.pdf

高齢者向けの賃貸住宅という位置づけであるため、契約する際には家賃数ヶ月分を敷金として支払うのが一般的です。

 

 

 

支払い方式は月払いと前払いの2種類

毎月の支払いは月払いと前払いのいずれかの方式となります。*4

 

サービス付き高齢者向け住宅では月払い方式を採用しているのが一般的です。通常の賃貸住宅を借りた場合と同じように、毎月一定の金額を支払います。

 

前払い方式の場合は、将来的にかかると想定される家賃等を入居時に前払いする方法です。前払金は「入居一時金」「入居金」などと呼ぶ場合もあり、終身にわたって居住することを前提に支払います。毎月の支払額を月払い方式より低めにできるのがメリットです。

 

契約をする際は、入居期間による支払費用の総額や、退去する場合の返還金の額などにも注意して慎重に選びましょう。

 

まとめ

サービス付き高齢者住宅は、有料老人ホームのように高額な入居一時金を支払わなくても入居できる住宅です。近年ではサービス付き高齢者住宅の普及が進んでおり、令和3年12月末時点で約27万戸が建設されました。*5

 

これからはますます高齢化が進んで行くことが予想されています。高齢者が大きな負担をかけずに、快適かつ安全に暮らせる住宅を選ぶ際に検討してみてはいかがでしょう。

参考エビデンス

*1 厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」P7

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038005_1.pdf

 

*2・3 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-制度の概要-」P12

https://www.mlit.go.jp/common/001464022.pdf

 

*4 厚生労働省「高齢者向け住まいを選ぶ前に消費者向けガイドブック」P7

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-03.pdf

 

*5 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-制度の概要-」P10

https://www.mlit.go.jp/common/001464022.pdf

 

この記事を書いた人

矢口美加子ライター・宅地建物取引士・整理収納アドバイザー。宅建・整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得済み。不動産・介護リフォーム・不動産投資・整理収納関連の記事を複数のメディアで執筆。ライター業の他に、家族が経営する投資用物件の入居者管理もこなす。

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