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更新日:2022.11.28リハビリ訪問リハビリテーションとは?サービス内容やメリット・デメリットを解説

自宅にてリハビリを行う「訪問リハビリテーション」という介護サービスがあります。
寝たきりや何らかの理由によって外出できない方にとっては、自宅でリハビリを受けられるのは大きなメリットです。

リハビリは、心身の機能回復や維持のためにはとても重要です。
介護が必要になったとしても、リハビリを受けることによって、よりその人らしい生活が送れるようになる可能性があります。

そこで今回は、訪問リハビリテーションの概要やメリット・デメリット、実際にサービスを利用するまでの流れについて説明します。
サービスの利用を迷っている方の参考になれば幸いです。

訪問リハビリテーションとは

訪問リハビリテーションとは、自宅にリハビリの専門家が来てくれて、身体の機能回復や維持のためにリハビリを行う介護サービスです。

 

リハビリは、大きく分けて3種類あります。

・理学療法:歩く、立ち上がるなど、日常生活で必要となる基本的な動作が対象

・作業療法:着替えや料理など、日常生活を営むために必要な動作が対象

・言語療法:話したり文字を読んだりすること、食事の飲み込みの訓練などが対象

それぞれ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士という国家資格をもつ専門家が行います。

 

訪問リハビリテーションは、利用者に対してリハビリを行うだけではなく、家族の相談にも応じます。

例えば、腰痛があって介護がつらいので楽にできる方法を教えてほしい、食事介助をするとむせてしまうがどうしたらいいかなど、より安全で楽に介護をするための方法についてアドバイスしてくれます。

また、車椅子や手すりなどの福祉用具が利用者に合っているか確認したり、必要な福祉用具があれば提案してくれたりします。

 

訪問リハビリテーションは、主に以下のような方が対象です。

・寝たきりで通所リハビリテーション(病院や施設などに通って行うリハビリ)の利用が難しい方

・退院や退所直後で、自宅での生活に不安がある方

 

訪問リハビリテーションの利用者数は、年々増加しています。

厚生労働省の資料によると、平成31年の受給者数は約11.5万人で、特に要支援の受給者が増加しています。

平成19年と比較すると、要支援1は5.4倍、要支援2は4.9倍となっています。*1

引用)厚生労働省 「訪問リハビリテーション」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf p8

訪問リハビリテーションの利用料金は、1週に6回(1回20分以上)を限度として1回292単位です。*2

これに加えて、利用者の状況やサービス提供事業所の体制によって加算や減算があります。

 

加算や減算がなければ、1単位は10円に換算されるので、1回あたり2920円になります。

自己負担額は基本的に1割なので、1回あたりの利用額は292円です。

※ただし、所得によっては2割負担、3割負担の方もいます。

 

リハビリというと、病院や施設で受けるものというイメージがあるかもしれませんが、サービスを利用すれば自宅でも受けられるようになりました。

以下の図のように、リハビリで心身の機能が向上すると、外出したり地域との交流が増えたりとより活動的になります。

そうすると、さらに心身機能が高まり、好循環を産み出すことができます。

結果として、健康寿命(健康で、日常生活が制限なくおくれる期間)が伸び、いきいきとした毎日につながります。

このように、リハビリを受けて心身の機能回復や維持を図ることはとても重要です。

引用)公益社団法人 日本理学療法士協会 「健康寿命をのばそう」
https://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/about/data/handbook01_170418.pdf p5

 

訪問リハビリテーションのメリットとデメリット

では、訪問リハビリテーションにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、具体的にみていきましょう。

メリット

・住み慣れた自宅で安心してリハビリができる

・リハビリのために病院や施設に通う手間がない

・自宅での生活の様子を見てもらいながらリハビリ内容を検討してもらえる

病院や施設でのリハビリでは、実際に利用者が自宅でどのように生活をしているのか見えづらいことがあります。

訪問リハビリテーションは自宅で行うので、日常生活の様子を見てもらうことでより利用者の生活に合ったリハビリを行ってもらえます。

デメリット

・大きな機械を使用したリハビリはできない

リハビリの内容はさまざまです。

訪問リハビリテーションでは、物理的に大きな機械の持ち運びができないため、スタッフの介助によるリハビリが中心になります。

 

・通所リハビリに比べて、人と接する機会が少なくなる

他者とコミュニケーションをとることは、生活に張りができたり生きがいにつながったりします。

訪問リハビリテーションではスタッフが自宅に来てくれますが、通所リハビリテーションと比べるとコミュニケーション量が少なくなります。

 

・入浴や食事サービスが受けられない

通所リハビリテーションでは、リハビリ以外にも入浴や食事のサービスが受けられます。

特に入浴は、自宅の設備が整っていなかったり、家族の負担が大きかったりすると自宅で入るのが難しいことがあります。

このような状況で訪問リハビリテーションを利用するときは、他の在宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護等)の導入を検討します。

訪問リハビリテーションと訪問看護のリハビリはどう違う?

訪問リハビリテーションを行っているのは、訪問リハビリテーション事業所です。

病院や診療所、介護老人保健施設が運営元になっており、必要な基準を満たし都道府県等から指定を受けています。

 

基本的には、この訪問リハビリテーション事業所に所属する理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅に来てくれます。

しかし、訪問リハビリテーションを行うのは、訪問リハビリテーション事業所だけではありません。

訪問看護ステーションでも訪問リハビリテーションを行っており、訪問看護ステーションに所属する理学療法士や作業療法士等が来ることもあります。

ただし、この場合は訪問看護サービスの一部としてのリハビリという位置づけになっています。

 

訪問看護のリハビリでは、人工呼吸器が必要な方や末期がんで痛みが強い方など、より医療が必要な方にも対応できることが多くなっています。

 

訪問リハビリテーションを行っている事業所は、たくさんあります。

事業所選びは、利用者や家族の希望をもとに決めることができますが、迷うことも多いです。

事業所の空き状況にもよるので、ケアマネジャーと相談しながら決めるとよいでしょう。

 

訪問リハビリテーションを利用するまでの流れ

訪問リハビリテーションは、介護保険か医療保険を利用するのが一般的です。

今回は、主に介護保険の利用を想定して説明します。

 

1.介護保険利用の申請を行い、要介護認定を受ける

まずは要介護認定を受けましょう。

市町村の窓口に申請書を提出します。

 

2.ケアマネジャーに訪問リハビリテーション利用を相談する

ケアマネジャーは、各事業所と利用者の橋渡しをしてくれる存在です。

訪問リハビリテーションの利用希望だけでなく、サービスについて疑問に思うことは遠慮せずケアマネジャーに聞いてみましょう。

 

3.医師に診療情報提供書や指示書を作成してもらう

訪問リハビリテーションを利用するためには、医師の判断が必要です。

診察を受け、必要な書類を作成してもらいましょう。

 

4.訪問リハビリテーション事業所に利用の申し込みを行う

サービス利用回数や曜日なども相談しながら決定します。

 

5.利用開始

サービスを利用するまでには、必要な手続きや書類がいくつかあるため「難しそう」と感じるかもしれませんが、詳しくはケアマネジャーが教えてくれます。

分からないことがあれば、遠慮なく相談しながら進めていきましょう。

 

まとめ

訪問リハビリテーションは、自宅にいながらリハビリを受けられるので、外出できない方も身体機能の維持や回復が期待できます。

それだけでなく、介護の相談にも応じてくれるため、家族にとっても心強い存在です。

上手にサービスを利用して、よりよい生活を実現していきましょう。

参照サイト

*1

参考)厚生労働省 「訪問リハビリテーション」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf p8

 

*2

参考)厚生労働省 「訪問リハビリテーションの報酬・基準について(検討の方向性)」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000685775.pdf p37

この記事を書いた人

浅野すずかフリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた記事を執筆。

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