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更新日:2023.02.01リハビリ遠隔リハビリテーションではどんなことが出来る?メリットとデメリットを含めて解説

新型コロナウイルスの影響もあり、遠隔医療に関するサービスは急速に発達しています。
リハビリテーション(リハビリ)についても同様に、様々な機器が開発され、これまでのように対面していなくても、安全に、効果的なリハビリテーションを提供できることが明らかとなっています*1。
また、リハビリ専門職の充実度の地域間格差があることなどから、遠隔リハサービスは今後の開発が期待されています*2。

一方で、電話やビデオ通話を私用した非対面でのリハビリ(遠隔リハ)を受けたことがある方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、遠隔リハはどのような流れで実施されるのか、また対面でのリハビリと比較した際にどのようなメリット・デメリットがあるのかについてお伝えいたします。

遠隔リハの流れ

遠隔リハは日本よりも、リハビリの専門職が独立・開業できる諸外国の方が歴史が長く、システムが整いつつあります。

ここでは、アメリカやニュージーランドで行われている、理学療法士による遠隔リハのプロセス*3をご紹介します。

 

 

1.事前準備

まず患者のスマートフォンや PC にビデオ通話ソフトのダウンロードを依頼します。

オンライン上で登録や設定を⾏い、メールで実施同意書等の記⼊について依頼します。

その後、療法士と予定を調整した上で予約をとります。

 

 

2.評価と目標設定、問題点抽出

オンラインミーティングのリンクをメール等で患者に送付し問診を開始し、

問診の中で本人が感じている課題や達成したい目標について伺います。

 

合わせて、ビデオ通話上で姿勢や動作の確認など簡単な検査後を行います。

検査の結果をもとに目標達成に向けた問題点を抽出します。

 

 

3.目標達成のためのアプローチの提案

疾患毎の注意点に関する資料の配布、⽇常⽣活動作(ADL)に対する個別指導、自宅環境への助言など、患者さんのお悩みを解決して、目標を達成するための方法を、状況を伺いながら実施可能な形でご提案します。

 

 

 

4.⾃主トレーニング処⽅

評価結果を基に提案・実施した運動(ストレッチ・エクササイズなど)について、

個別に作成したシートの配布などを行い、遠隔リハ以外の時も継続的に取り組んで頂くことを目指します。

 

 

5.再評価とフォローアップ

数か月に1度、行った遠隔リハが効果を成しているか、定期的に身体のチェックを行います。また、運動にあたってより慎重なリスク管理が必要な場合などは、クリニックやケアマネージャーなどの他機関とも連携を計りながら支援を行います。

 

遠隔リハのメリット・デメリット

 

遠隔リハでは、直接的な対面は無い物のビデオ通話などで問診を行った上で、お悩みや目標達成に向けたアプローチを提供するという点が対面のリハビリと共通しています。

 

それではどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

以下にそれぞれ簡単にご紹介します。

 

遠隔リハのメリット

・実施場所を選ばない

 

いうまでもありませんが、遠隔リハはスマートフォンと通信環境があれば、場所を選びません。過疎地域であっても、雪で通行止めになっていても、ご自宅などからリハビリを受けることが出来ます。

 

・自分の悩みや疾患に適した療法士に相談できる

 

サービスにもよりますが、全国の療法士にアクセスすることが可能となれば、ご自身の疾患に対して専門的な知識をもつ療法士から、様々な助言を貰うことができるでしょう。

 

・記録や資料を無くしにくい

 

療法士から提案のあった運動方法や注意点、自主トレーニングの資料などが、映像やファイルになっていることが多く、紛失しにくくなります。

リハビリが終わったあと、お一人での運動などの継続にあたって利点があります。

 

遠隔リハのデメリット

 

・接触することができない

 

リハビリというと、マッサージのように身体に触れることで痛みを和らげる印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。遠隔リハでは触れることが出来ないため、ご自身で行っていただくストレッチなどの提案になります。

 

・スマートフォンやパソコンの操作が大変

 

通信機器の普及率は増加していますが、スマートフォンに慣れない方も多くいらっしゃるのも事実です。シニア世代など、これまでスマートフォンなどに慣れ親しんでいない方でも、簡単に利用できるシステムづくりが今後求められるのではないかと思います。

まとめ

今回は遠隔リハでできることについて、実際にニュージーランドで行われている内容をもとにお伝えいたしました。何事もそうかもしれませんが、慣れるまでの導入に課題があるように思います。

 

一方で研究レベルでは、世界中で多数の報告があり、脳卒中や脊髄損傷をはじめとして幅広い疾患に効果的なリハビリを提供できることが証明されています*1。

 

困りごとを相談して新たな視点からの助言をもらうなど、リハビリの専門家の存在がもっと気軽になり、障害があってもなくても、長生きを喜べる社会に近づけくことを願います。

 

 

参考文献・参考サイト

*1:吉川 光司, 対⾺ 栄輝, 世界における遠隔リハビリテーションの実態調査と報告, 運動器理学療法学

https://doi.org/10.57281/jofmpt.202104

 

*2:東馬場 要 , 阿比留 友樹, 遠隔リハビリテーションのプラットフォーム開発.総合リハビリテーション.50巻12号 , pp.1463-1467

https://doi.org/10.11477/mf.1552202695

 

*3:Physiotherapy Board of New Zealand.Telehealth standard.

https://www.physioboard.org.nz/wp-content/uploads/2021/09/Physiotherapy-Board-NZ_Standards_Telehealth-standard.pdf

この記事を書いた人

東馬場要1991年奈良県生まれ。理学療法士・医学修士。現在はロッツ株式会社でリハビリを実践しながら、健康格差に関する研究、楽しい介護予防を目的とした市民活動団体の設立など活動中。学生時代の経験から志した「健康に格差のない、障害があっても長生きを喜べる社会」の実現を目指している。

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